私はいつもこのサイトでゲームに関するニュースや、海外からの情報をお知らせしている「ニュース担当のMathu」というものだが、今は時期的に大きなニュースも無く、記事を投稿することが少なくなってきている。
そこで今回はこの場を借りて、PSVitaに関する個人的な見解でも記しておきたいと思う。
少し長くなるが、興味がある人はぜひ読んでみてほしい。
PSPの後継機が7年ぶりに登場PSVitaは、2004年12月に発売されたPSPの正統後継機。2011年12月17日に満を持して発売された。これには多くのユーザーが期待していたと思うし、私自身もこの日を首を長くして待っていた。当然発売初日に購入し、ゲームはもちろん、様々な機能を楽しんでいる。
ネットで一時話題となった、フリーズなどの初期不良などもない。
初期不良と思われる現象については、ソニーが公式に対処法を出していることから、数自体は少なくないのかもれない。しかしその大部分がユーザー自身で解決できるようなもので、初期不良というより「操作のトラブル」と言ったほうが自然なのかもしれない。
早くも失速するPSVITA前で述べたように、PSVitaは2004年12月に発売された「PSP」の正統後継機となるのだが、そのPSVitaに発売直後から不穏な空気が漂い始めている。
既に知っている人も多いとは思うが、PSVitaの発売から2週が経った今、その販売台数が大きく下がってきている。発売初週(17、18日)の32万4859台から大きく落ち込み、2週目は78%減の7万2479台。
これはSCEも想定外だったのではないだろうか。
素人が見てもこの数字の落ち込み具合は尋常ではないことが分かる。
2011年12月19日~12月25日のコンシューマハード週間販売ランキング
コンシューマハード週間販売ランキング ―4Gamer.netゲーム機に29800円はやっぱり高いPSVitaは3G回線を搭載し(3Gモデル)、ゲームができてネットもできる。その上カメラ撮影もできる上に動画の再生、ipodのように音楽まで楽しむことができる。さらにPS3やトルネと組み合わせれば使い方の幅も広がり、価値あるものとなる。
個人的にはこの値段でも「すぐに欲しい」と思ったが、一般的に見るとどうだろうか?
ゲーム機に29800円はやはり高い。しかも現実的にはその値段では収まらない。
仮にゲームソフトとメモリーカード16GBを同時に揃えれば、さらに1万円プラスとなってしまう。
その為ネットでも店頭でも、5000円ほど安いWi-Fiモデルのほうが売れているのが今の現状。
合わせて4万。本体をWi-Fiモデルにし、メモリーカードの容量が低いものにしてもソフトと合わせ約3万円程。こういった機器が好きな人には妥当、または安いと感じるかもしれないが、少し興味があるくらいの人なら、大人でも一旦考える値段ではないかと思う。
つまり何が言いたいかというと、PSVitaの価格は消費者が「この値段なら買ってもいいかな」という風に感じないこと。「少し高いけど買おうかな」とか、「この値段なら余裕あるときに買えるな」とか、そういったことを考える前にゲームに4万円は高く思ってしまう。しかもPSVitaは小さい携帯ゲーム機。そういったイメージをより強く感じさせるのかもしれない。
一般的な消費者の目線で見た場合、“ギリギリのうまいところ”にあたる値段を大きく上回っているのではないだろうか。商品に魅力はあるが、高くて買えないという人も多いのではないかと思う。
スマートフォンとの競合は影響しているのか先に記載した、ゲーム、ネット、写真撮影、音楽や動画鑑賞などは、すべてスマートフォンでも利用することができる。つまりPSVitaはスマートフォンと大部分がカブっていることになるのだが、それが販売台数に影響するのだろうか?
個人的には“影響しない”と思う。
PSVitaでは質の高いゲームが、スマートフォンより大きな画面で楽しめる。
スマートフォンは手軽なゲームやアプリを楽しめるが、持つ目的はあくまで通話。
それぞれ明確に違う点があり、しかもその違う点が各機器を使用するための一番の目的となる。
「ネットがしたいからPSVitaを買う」という例は少なく、「ゲームがしたいからスマートフォンを買う」ということもあまり無い。PSVitaで言うならゲームで遊ぶことがメイン。ネットや音楽はサブ的なもので、逆にスマートフォンなら電話がメイン。ゲームやアプリはそのついで、なのではないだろうか。
つまり一般的な消費者は、あくまでPSVitaは「ゲーム機」、スマートフォンは「携帯電話」という認識でいると思う。
「やりたいゲームが無い」が本体普及に影響今、本体の販売台数に一番影響しているのは値段でも性能でもなく、この「やりたいゲームが無い」からという点ではないだろうか。
「やりたいゲームが無いから買わない」というのは至極当然のこと。
もちろん本体の発売と同時に大きなタイトルのゲームソフトを出せば、本体も爆発的に売れると思う。しかしSCEには自社にそういったタイトル、例えば任天堂で言うマリオのようなタイトルが無く、各ゲームメーカーも自社の看板タイトルを、“まだ主流となるか分からない媒体”に投入するようなことはしない。通常ある程度PSVitaが普及し、ソフトが売れる見込みができてからというのが当然の判断だと思う。
しかしこれについてはPSVitaが普及さえすればいいだけの話。
媒体の数が増えれば必ず多くのゲームソフトが自然と発売されるようになる。
つまり本体だけでなく“皆が望むゲームソフト”の発売も、SCEの今後の手腕にかかっている。
PSVitaにはすでに多くのゲームソフトメーカーが参入の名乗りを上げ、今後発売される具体的なソフト名も多数公開されている。
ただ、任天堂でいうならマリオ、カプコンでいうならモンスターハンターなどの、いわゆる“キラーソフト”となりえるようなタイトルは今のところ無いように思える。
ニンテンドー3DSも一時は大きく落ち込んだPSVitaが失速する中、ニンテンドー3DSは大きく販売台数を伸ばしている。
ニンテンドー3DS(以下3DS)は2011年2月26日に発売された、任天堂の携帯ゲーム機。
PSVitaとは同世代の携帯ハードとなる。
上のグラフを見ると今は好調に見えるが、3DSも大きく落ち込んだ時期があった。
発売初週の販売台数は約35万7000台。その後4週間で販売台数が大きく落ちている。
日々是遊戯:3DSの立ち上がりは成功と言えるのか?
データで見る3DS、DS、PSPのローンチ比較 - ITmedia ガジェット1~2週目こそ好調だが、3週目以降で大きく失速していることが分かる。
これに対し任天堂が打って出た対策が、まだ記憶にも新しい“本体価格の1万円引き”。
もともと2万5千円だった本体価格を、1万5千円とする策を講じた。
なんとも大胆なものだが、見事この策が功を奏し、2011年の年末商戦では2月の発売当初以上の販売台数上げている。また、年末の最も物が売れる時期に合わせ、「マリオシリーズ」や「モンスターハンター3G」を投入してきたことも、本体の販売台数アップに大きく貢献した。
あるかもしれない。“PSVita本体値引きとお詫び”任天堂が3DS普及に邁進しているのと同様に、SCEにとってPSVitaは、これから普及させていかなければならない重要なハード。
任天堂が将来を危惧し、本体価格を1万円下げるという大胆な策に出たように、もしかしたらソニーも何らかの策に打って出るかもしれない。
3DSが週を重ねるごとに販売台数を落としていったように、おそらく以降のPSVitaの販売台数は今以上に低迷する可能性が高い。そう考えると状況を考慮した予想でしかないが、任天堂の本体値引き、そしてアンバサダー・プログラムと同じような措置が、PSVitaにあってもおかしくないのではないだろうか。
SCEは欲張り過ぎ欲張り過ぎといっても値段のことではなく、自社の将来プランを消費者に押し付けているような気がするということ。
PSVitaになぜUMDドライブを付けなかったのか。
それはコストの問題や設計上の都合もあるのかもしれないが、SCEはやはり将来的にゲームはダウンロード販売が主流になる、もしくはそうなるようにしたいと考えているからではないだろうか。
確かに将来的にはそうなるかもしれないが、多くの消費者は「今UMDが遊べる新型機」を望んでいた。
数年を見越した大きな販売プランは、初来的なことを重要視して立てる必要もあると思うが、PSPgoのようにわずかな期間で生産終了となってしまっては意味がない。
専門家ではないので具体的な例や良い案を出すことはできないが、消費者をより満足させた上で、自社の目的を実現するプランは組めなかったのだろうか。
個人的にソニーは、独自路線を貫いているイメージがある。
もちろんすべてがそうではないが、大衆に受け入れられるようなものでなく、わざわざ一部の消費者にしかうけないものを作っているようなイメージ。
ただ、その幅の狭い所に向けて出している商品が洗練されていることが、私がソニーを好きな理由でもある。
PSVitaは“良いハード”長々と書いたが基本的にPSVitaは素晴らしいハードだと思う。
ただ先に上げたように、今は少し悪い点が目立っていることも事実。
ここに上げたことは、販売データに関する内容を除き、すべてが私の個人的な見解でしかない。SCEからするとこの失速でさえ“想定内”なのかもしれないし、もしかしたらすでに発売前からこの状況を想定した上で、次の一手を用意しているということも考えられる。
しかし2週目という短い期間での大きな失速は、誰がどう見ても良くない状況であると感じたと思う。PSVitaがこの状況から脱し、さらに普及する為には、今後ソニーが消費者に対しインパクトのあるサービスや、何か起爆剤になるような措置をとる必要があるのではないだろうか。
ともあれソニーのいちファンとして、PSVitaが短い期間で市場から姿を消すことがないことを心から願っている。逆にこれからも末長く、“多くのユーザーから愛されるゲーム機” になってもらいたいと思う。
投稿者 MaThu (ニュース担当)